OTC類似薬の保険外しに反対します
OTC類似薬の保険外しとは(連載)
~医療費抑制効果は限定的~
今回は薬剤師に寄稿してもらいました。
OTC類似薬の保険外し(特別料金徴収)は、医療費抑制策の一つとして位置づけられています。しかし、この制度によってまず直接的な影響を受けるのは、患者の自己負担の増加です。例えば、90日分の内服薬を処方された場合、追加料金として約1,000円、条件によっては約2,000円程度の負担が生じる可能性があります。抗アレルギー薬や皮膚疾患治療薬など、日常生活を維持するために継続的な服用が必要な薬も多く、高齢者や慢性疾患を抱える患者、さらには経済的に余裕のない人ほど影響を受けやすい制度であると言えるでしょう。
一方、医療費全体への影響という観点から見ると、OTC類似薬は1品目あたりの薬価が比較的低いものが多く、医療費全体に占める割合は決して大きくありません。実際に医療費の増加に大きく寄与しているのは、がん治療薬などの超高額医薬品や、多くの患者に使用される高価なブロックバスター医薬品です。令和3年の販売額を比較すると、OTC類似薬全体(約7,000品目)の販売額が約1兆円であるのに対し、販売額上位15品目の医薬品だけで約1兆3,000億円に達しており、影響の大きさには明確な差があります。
さらに、患者の自己負担増を避けるために、医師がOTC類似薬以外の医薬品を処方するケースも想定されます。その結果、OTC類似薬よりも薬価の高い医薬品が選択されることも少なくなく、かえって医療費全体が増加する可能性も否定できません。
製薬会社の立場から見れば、OTC類似薬の処方量が減少することで収益性が悪化し、採算が取れない製品については製造中止に至る可能性もあります。
このように、OTC類似薬の保険外しは薬局業界を含めた医療提供体制に大きな変化をもたらすものの、それ自体による医療費抑制効果は限定的であると考えられます。それにもかかわらずこのような政策が進められている背景としては、患者の自己負担を増やすこと等により、結果として受診抑制を促す狙いがある可能性について認識しておきましょう。
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